石塀小路 ～石畳が織りなす風情ある小路～

石塀小路は、八坂神社の南楼門から下河原通を南に向かい、3本目（または4本目）の角を左に曲がった小さな通りです。一見、袋小路のような曲がり角を進むと、高台寺通り（ねねの道）へと抜けることができます。家の周りを石塀で囲んでいるため、石塀小路という名に。

もともと、この地域は豊臣秀吉の正室・ねねが高台寺にいたころから、芸者が多く住んでいた街でした。その後、明治の終わりから大正の初めにかけて、上村常次郎が石塀小路を開発します。石塀小路のお店は一見さんお断りの店が多かったことから、芸能人が宿泊することも多かったようです。第二次世界大戦前には、日本画家の堂本印象も住んでいました。

「お忍びの場所」という印象が変わったのは、1970年代に、かつて使われていた京都市電の敷石が石畳の一部として使われたころからです。現在は、旅館や料亭、レストランなどが店を構え、祇園の奥座敷として知られています。片泊まり（朝食のみ）の宿「田舎亭」は、たまにテレビドラマにも登場することも。

石塀小路にある約30数軒が会員の「石塀会」では、看板は白と黒のみ、英字は使わない、メニューは道に出さない、などの決まりを設けているそう。風情あふれる風景は、写真スポットとしても人気です。