豊国神社の例祭～神楽奉納と献茶祭～　

豊臣秀吉を祀る豊国神社。豊臣家が滅亡した後、徳川家康は豊国廟を取り壊して方広寺に霊を遷しました。その後、明治天皇の依頼によって、方広寺の大仏殿跡に明治13年（1880）豊国神社の社殿が建てられます。唐門は、伏見城の遺構を移築したものです。

豊国神社の例祭は、豊臣秀吉の命日（旧暦・慶長3年（1598）8月18日）に開催される例祭です。

18日には神事が執り行われた後、舞楽「蘭陵王」（らんりょうおう）や巫女の神楽舞が奉納されます。また、手作り品、リサイクル品など30～50店が出店するフリーマーケット・豊国さんのおもしろ市も開催されます。

19日の例祭では、藪内（やぶのうち）流による献茶祭を開催。藪内流は、千利休と共に武野紹鷗（たけのじょうおう）の弟子であった藪内剣仲（けんちゅう）（紹智・じょうち、という別名も）が始めたお茶の流派です。上京区にある三千家（武者小路千家・表千家・裏千家）を上流（かみりゅう）というのに対して、下京区にある本願寺に仕えた藪内流を下流（しもりゅう）と呼ぶこともあります。

明治時代から行われている献茶祭では、豊臣秀吉を祀る本殿と北政所（きたのまんどころ）を祀る貞照（さだてる）神社の神前に、濃茶と薄茶を薮内流の家元がお供えします。献茶祭の後は、藪内流の茶人だった野村得庵（野村證券の創始者）が寄贈した茶席「豊秀舎」に、お茶席を設置。

例祭には招待者のみが参加可能ですが、舞楽奉納などは唐門の下にある賽銭箱の前から見ることができます。

境内にある宝物館には、特に盛大だった慶長9年（1604）の秀吉7回忌・豊国大明神臨時祭を描いた「豊国祭礼図屏風」や献茶祭で使われる茶道具などが展示されています。「豊国祭礼図屏風」の左隻（左側の屏風）には、たけのこの扮装をした男性も描かれているので、要注目です。