松尾大社 ～酒づくりの神様～

松尾大社は、松尾山の山霊・大山咋神（おおやまぐいのかみ）を頂上近くに祀ったのがはじまり。大山咋神は、上賀茂神社の御祭神である賀茂別雷命の父です。京都で最も古い神社の1つで、5世紀ころ、秦（はた）氏一族が氏神として信仰するようになりました。

本殿が秦忌寸都理（はたのいみきとり）により建立され、大山咋神が山から遷されたのは、大宝元年（701）のこと。平安時代から、松尾大社は賀茂神社（現在は下鴨神社と上賀茂神社に分離）と共に、都の守り神を任されています。現在の本殿は、松尾造という特殊な造りで応永4年（1397）に建てられ、天文11年（1542）に改築されました。平成29年（2017）に遷宮が行われた際に、楼門や本殿の屋根の葺き替えなどが行われています。

祭神は、大山咋神と海上守護のご利益がある市杵島姫命（いちきしまひめのみこと）です。

室町末期以降、秦氏が酒造りが得意だったことから、お酒の神様として知られるように。境内にある神泉「亀の井」は長寿に効くとされ、お酒に入れると腐らないといわれています。

重森三玲の遺作である松風苑。松尾山で大山咋神を祀った磐座（いわくら）をイメージした上古（じょうこ）の庭、平安時代をテーマに遣水を使った曲水の庭、池泉回遊式庭園である蓬莱の庭の3つの庭からなります。

境内には他に、平安初期に作られた等身大の神像など21体の像を祀る神像館、お酒の道具が飾られたお酒の資料館、珍しい亀が見つかった霊亀（れいき）の滝などがあります。見晴台のある磐座には、2名以上ならば登ることが可能です。境内は松尾山を含み、約12万坪からなります。

毎年4月20日以降の最初の日曜に開かれる「神幸祭」。神輿の船渡御（川渡り）があり、多くの観客が訪れます。