【2024年GW特集】ゴールデンウィークの京都観光にもぴったり！葵祭の前議＆本祭

新緑の季節・ゴールデンウィークには京都各地の神社仏閣でさまざまな祭事が執り行われます。
その中でも特に注目度が高いのが下鴨神社・上賀茂神社で開催される葵祭の前議。
FunJapoの特集で日程と内容をしっかりチェックして、長く続いてきたこの行事を体験しに行ってみましょう。

そもそも葵祭って？

葵祭とは下鴨神社・上賀茂神社で行われる京都三大祭の一つ。
起源が飛鳥時代まで遡るとされる古式の祭礼で、王朝風俗の伝統が残されているのが特徴です。
正式には「賀茂祭」という名称で、平安時代より国家的な行事として執り行われたため、当時は「まつり」といえば葵祭のことを指していたのだとか。
葵祭の当日に参加者や使用する車・牛馬を賀茂神社の神紋である葵で飾ったことから、「葵祭」と呼ばれるようになったとされています。

「斎王代」って何？

まず「斎王（さいおう）」とは、その身を潔斎して伊勢神宮や賀茂の神社に仕えていた未婚の内親王・女王のことを指します。
彼女たちは平安の昔、国をあげての祭であった賀茂祭（葵祭）にも奉仕しており、このとき住まいから祭礼へと向かう斎王の華やかな行列には大勢の見物客が訪れました。
現代ではこの「斎王」という制度はなくなっているため、毎年「斎王代（さいおうだい）」として選ばれた未婚の女性がその代わりを務めています。
斎王代は本祭の行列でヒロインとして花を添える他、下鴨神社・上賀茂神社で行われる行事にも1年を通して奉仕するのだそうです。

ゴールデンウィーク中に開催される葵祭前議

5月1日「賀茂競馬会足汰式」

5日に行われる賀茂競馬、その際走らせる馬の試走を行うのが「賀茂競馬会足汰式（かもくらべうまあしぞろえしき）」です。
12頭の馬たちは境内にあるならの小川で足を清めたあとまず1頭ずつ走り、その後2頭1組となってその速さを競います。
試走と言っても走る馬と乗尻（騎手）は本番と同じであるため、感じられる迫力もさながら本番のそれのよう。
この行事では試走の他に賀茂競馬での組み合わせも決定されるので、一足早く当日の雰囲気を味わうことができてちょっとお得な気分になれます。

行事名	賀茂競馬会足汰式
開催日程	5月1日
開催時間	13:00頃
開催場所	上賀茂神社（賀茂別雷神社）

 

5月3日「流鏑馬神事」

葵祭の前議の中でも、下鴨神社で開催される「流鏑馬神事（やぶさめしんじ）」は特に有名な行事の一つでしょう。
境内である糺の森で馬を走らせつつ射手が馬上から的を射貫くこの神事は、葵祭の道中を祓い清めるために行われているのだそう。
全長360メートルの馬場には100メートルおきに3つの的が設けられており、馬が加速する3番目の的の近くにはひときわ多くの見物客が集まります。
狩装束の騎手が次々と矢を放っていく勇ましい姿、ぜひ間近でご覧になってみてください。

行事名	流鏑馬神事
開催日程	5月3日
開催時間	13:00頃
開催場所	下鴨神社（賀茂御祖神社）

 

5月4日「斎王代・女人御祓神事」

「斎王代・女人御祓神事（さいおうだい・にょにんみそぎしんじ）」は葵祭のヒロイン・斎王代をはじめ本祭の女人列に参加する数十名の女性が身の穢れを清める神事です。
この神事の特徴は毎年開催場所が下鴨神社と上賀茂神社の間で交代すること。
下鴨神社の場合は御手洗池で、上賀茂神社の場合は御手洗川でそれぞれ御祓が行われます。
十二単を着た美しい斎王代、その華やかな様子を鑑賞できるまたとない機会ですよ。

行事名	斎王代・女人御祓神事
開催日程	5月4日
開催時間	10:30頃
開催場所	上賀茂神社・下鴨神社（※1年ごとに交代。2019年は下鴨神社）

 

5月5日①「歩射神事」

5日は下鴨神社と上賀茂神社のそれぞれで葵祭の前議が行われ、この「歩射神事（ぶしゃしんじ）」は午前中の下鴨神社で開催されます。
これは葵祭で通る沿道の邪気を弓矢によって清める神事で、馬上から清める流鏑馬神事に対しこちらは地上で矢を射ることにより魔除けを行うのだそうです。
特に鎌倉時代より受け継がれてきた「小笠原流」の弓作法は、弓道経験者ならずとも注目したいポイントの一つ。
平安時代に宮中で行われていた「射礼の儀」が起源というこの神事、見ているだけでも心の穢れが払い落とされそうですね。

行事名	歩射神事
開催日程	5月5日
開催時間	11:00頃
開催場所	下鴨神社（賀茂御祖神社）

 

5月5日②「賀茂競馬」

5日の午後に上賀茂神社で行われるのが、葵祭前議における目玉の一つ「賀茂競馬（かもくらべうま）」です。
12頭の馬が2頭1組となり早さを競うこの行事は、1馬身の差をつけてスタートしたあとその差が広まれば前の馬の勝ち、差が縮まれば後ろの馬の勝ちとなるルールなのだとか。
また、平安時代後期に行われた菖蒲の根の長短を競う遊び「菖蒲合わせ」にちなんでいることから、馬に菖蒲がつけられているのもこの祭事の特色と言えるしょう。
上賀茂神社の祭神が司る雷のように勢いよく駆ける12の稲妻、どの雷光も見逃さないようにしたいものです。

行事名	賀茂競馬
開催日程	5月5日
開催時間	14:00頃
開催場所	上賀茂神社（賀茂別雷神社）

 

ゴールデンウィーク後が本番！葵祭の日程

前述の祭礼がゴールデンウィーク中に行われる主な葵祭前議ですが、葵祭にとってはゴールデンウィーク後に開催される行事こそメインディッシュ。
日程に余裕のある方はぜひ以下の行事もチェックしてみてください。

5月12日「御蔭祭」

「御蔭祭（みかげまつり）」とは、下鴨神社祭神の荒御魂（あらみたま）を摂社である御蔭神社から迎え入れるという非常に大切な神事です。
早朝に下鴨神社を出発した約150人の神職達は、厳重に囲われた御蔭神社の社殿で秘儀を行ったのち、神霊を御神櫃に遷して社まで丁重にお運びするのだそう。
帰路の際に雅楽の音を鳴り響かせながらゆっくりと進む神幸列の様子は、まさしく雅という言葉が似合います。
このあと下鴨神社では新しく荒御魂を迎えた喜びを表す「切芝の神事（きりしばのしんじ）」という祭礼も行われますので、あわせてご覧になるのもいいかもしれません。

行事名	御蔭祭
開催日程	5月12日
開催時間	11:00頃
開催場所	御蔭神社～下鴨神社

 

5月15日「葵祭（路頭の儀・社頭の儀）」

1日から14日まで続いた葵祭の前議が終わり、ついに開催されるのがハイライトである「路頭の儀（ろとうのぎ）」です。
勅使代や斎王代の他、宮廷装束に身を包んだ総勢500名以上の参加者からなされる行列はまさに絢爛豪華の一言につきるでしょう。
約8キロにも及ぶこの大行列は、京都御所を出発したあと下鴨神社を経て上賀茂神社へと向かいます。
そして下鴨神社と上賀茂神社へ到着した際に行われるのが、もう一つのハイライト「社頭の儀（しゃとうのぎ）」です。
五穀豊穣・天下泰平を祈るこの神事では勅使による祭文・幣物の奉納や舞人による東遊（あずまあそび）の奉納など、実にさまざまかつ風情のある祭礼が執り行われます。
さらにこの後日「煎茶献茶祭（せんちゃけんちゃさい）」という葵祭を締めくくる祭事が行われると、およそ半月に及んだ葵祭の一連の行事も無事終わりを迎えるのだそうです。

行事名	路頭の儀
開催日程	5月15日
開催時間	京都御所出発10:30頃
開催場所	京都御所～下鴨神社～上賀茂神社

 

行事名	社頭の儀
開催日程	5月15日
開催時間	下鴨神社12:00～14:00頃、上賀茂神社15:30頃
開催場所	下鴨神社・上賀茂神社

爽やかな気候と眩しい日差しの中、半月に渡って繰り広げられる葵祭の祭礼の数々。
いにしえから続く日本の伝統行事、その魅力を垣間見るためにも初夏の京都へ足を運んでみてはいかがでしょうか。